第参話 買わない、写真

――第三新東京市某所地下2階。


「おはよう刑君、ハロショはどう?」

「慣れました。悪くないと思います」

「それは結構。写真の販売時期、鉛筆と記入用紙の配置、メンバーの配列、レジカウンター、全部頭に入ってるわね?」

「多分……」


「では、もう一度おさらいするわ。通常ハロショでは記入用紙に欲しい写真番号を書いて、その用紙をカウンターに提出することで写真を売ってくれます。用紙を渡したら、早くて1分、混んでいると5分は待たされる。これが私達の科学の限界ってわけ。お分かりね?」

「はい」

「ではこの前の続き、購買モード始めるわよ」



「目標の写真番号を記入欄に入れてカウンター」





「目標の写真番号を記入欄に入れてカウンター……」



「目標の写真番号を記入欄に入れてカウンター……、目標の写真番号を記入欄に入れてカウンター……、目標の写真番号を記入欄に入れてカウンター……」






「ハッ……!」





「今月の規定予算オーバー!」

「現金払いからキャッシングに切り替わりました!」

「活動限界まで後2千円!」

「刑君、活動限界を越えるわ。一時退却。出直すわよ」






「逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ……」





「刑君、命令を聞きなさい! 退却よ! 刑君!」





「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」



「あのバカッ!」





「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ク、クッ……」







(刑)