帰郷

 オレの名前は舞太郎、爺さんの葬式で故郷に帰ってきた・・・。
 故郷を去ったのは親父の亡くなった十年前、今度は、爺さんが死んでその葬式で帰ってくるとは、まったく皮肉な話だ、、。
 爺さんはうちの一族を一代で戦後のゴタゴタの中で大きくした地元じゃあちょっと名の知れた人物で今日の葬式もなにやら騒がしい。




 舞美「あっ舞太郎さん、かえってきてらしたの。」

この人は死んだ爺さんの最期の妻の舞美さん、
爺さんも高齢だったとはいえ急死だったからいろいろと忙しかったんだろう、表情に疲れが見える。ちなみに爺さんは、舞美さんの前に二人の女性と結婚し先立たれている。舞美さんは爺さんの三番目の妻でオレと年もそこまで離れていない、オレの初恋の人だった。




 エリオ「よぉ、舞太郎!!オマエも帰ってたのか!!」
 舞太郎「あぁエリオにいさん!!今回は大変でしたね。」

このひともそんなに年は離れていないが爺さんの二番目の妻の息子、エリオさんだ、兄さんとは呼んでるが実際は叔父にあたる。

 エリオ「なんか親父の死因は舞市郎兄さんとおなじだったらしいな。」
 舞太郎「え、そうなんですか!?」

舞市郎とはオレの十年前に死んだ親父の名前だ。





 愛理「なんであんなジジイが死んだくらいでこの私がこんな田舎までこないとなのよ!!」

 コイツは愛理、オレの従妹だ、小さいころは一番爺さんになついてたのにいまじゃあひどいものだな。



 

 舞美「舞太郎さん、よかったら祭壇で旦那様の顔みていってくださらない?」

 舞美さんが忙しい中オレに声をかけてくれた





 舞太郎「はい!今、行きますっ!!」
正直爺さんの死に顔なんて見たくはないが舞美さんがいうならしかたない。世間じゃあ偉大な人物だったかもしれないが死んでしまえば小さいものだ、無駄なものが嫌いな爺さんにぴったりな殺風景な祭壇だ。





舞美「さぁお棺を開けてくださいな」






がしゃ

爺さん「礼服は着崩すなぁーーーッ!!!!」




みんなも気をつけようね!